はじめに:50代の心にそっと寄り添う、懐かしいドラマと少し大人になった今の私たち
人生の折り返し地点を過ぎて50代を迎えると、子どもたちもだんだん大きくなり、恋人の話をされたり、結婚という二文字がリアルな現実味を帯びてきたりする頃ではないでしょうか。
そういえば先日、知人から「初めて息子が家に彼女を連れてくることになって、家中を大掃除して庭の草取りまでして本当に大変だった!」という微笑ましいエピソードを聞きました。いつの時代も、子供のパートナーを迎える親の緊張やバタバタぶりは変わらないものだなと、思わずクスッとさせられます。
少し前にフジテレビで放送されていたドラマ『102回目のプロポーズ』を目にしたとき、そんな日常の延長線上から、画面に映るワンシーンで20代の頃の記憶が一気に蘇り、なんだか胸がいっぱいになって途中で見れなくなってしまいました。
作中で描かれていた「結婚相手の家柄が自分の家庭と違いすぎる」という問題。実はこれ、私自身も身をもって経験したことでした。
今回は、そのドラマがきっかけで蘇った、私の若い頃の苦くて切ない恋の記憶についてお話しさせてください。そして、50代の今だからこそ見えてきた景色について綴ってみたいと思います。

【この記事の主な内容】
・ドラマ『102回目のプロポーズ』をきっかけに蘇った、若き日の切ない失恋
・50代の今だからこそ気づける、過去の選択と人生の意味
・過去の思い出を優しく抱きしめ、これからの未来を軽やかに歩む
34年の時を経て描かれる、伝説のドラマの続編と親子のリアル
90年代月9ドラマの金字塔『101回目のプロポーズ』。浅野温子さんと武田鉄矢さんの名演で、放送から長い年月が経った今も語り継がれる名作です。その最終回で結ばれた矢吹薫と星野達郎が本当に結婚しており、なんとその娘が主人公となる続編として誕生したのが『102回目のプロポーズ』です。
かつて画面の向こうで胸を熱くさせたふたりが夫婦になり、達郎は小さな建築会社を経営しながら愛娘の幸せを願う父親になっている。そんな設定を知るだけでも、当時の記憶やあの頃の空気感が鮮やかに蘇ってきます。
親世代となった私たちにとって、どこか我が子と重ね合わせるような視点でも楽しめる作品かもしれません。
参考リンク
・フジテレビ | 102回目のプロポーズ
・50歳、理想の人生じゃなかったあなたへ|ミッドライフクライシスを希望に変える生き方
突然見せられた「目黒の実家」と、若さゆえの切ない選択
実は、ドラマで描かれていたような家柄の格差という壁は、私もかつて20代の頃に、まったく同じように身をもって経験したことでした。
当時、お付き合いしていた人とは「結婚したいな」と心から思っていました。彼は若いのに立派な車に乗っていて、「お坊ちゃまなのかな」となんとなく感じつつも、深くは気に留めていませんでした。
振り返れば、彼からは「親が会社を経営している」「親戚は経営者が多い」といった話がちらほらと出ていました。さらには、妹さんが芸能関係の方だという話を聞くこともありました。当時はまだどこか現実味のない、遠い世界の話のように聞いていたのです。
しかし、ある日のデートの帰り道。車で彼の家の前まで連れていかれ、「これがうち」と目黒の実家を見せられたのです。
そこにあったのは、想像を絶するほどとても大きなおうちでした。その瞬間、「うちは釣り合わない。だめだ」という感情が冷徹に湧き上がってきたのを覚えています。
「この人と結婚したら親に大変な思いをさせてしまうかもしれない……」
子供ながらにそう思い悩み、その時からすっかり委縮してしまい、結局その人とはうまくいかなくなっていきました。
思い悩んだ末に妹へ打ち明けたところ、私の気持ちを汲み取った妹が母に伝えてくれたようで、のちに母から「お姉ちゃんが選んだ人なら、お父さんもお母さんも何も心配いらないよ」と、温かく背中を押してくれたことがありました。
家族はこんなにも味方でいてくれたのに、若かった私は自分から勝手に壁を作ってしまい、自ら恋を手放してしまったのです。
失恋した頃は毎日のように車の中で浜崎あゆみさんの曲を聴いて号泣していました。曲名は「SEASONS」。歌詞を聴いていると今でも涙が溢れてきてしまいます。
関連記事
・遠方に住む親が心配…。介護はまだ先でも、親の老いに気づいたら始めたい準備
・『黄昏サラウンド』が教えてくれたこと。50代の私たちが最後に求める「シンプルで深い優しさ」
・50代、こんなことで泣くなんて…涙もろくなった私の体験談。「ただ泣きたくなるの。」
「あの時」の恋と、50代の今だからこそ見える景色
当時のことを思い返すと、「あんなに好きだったのだから、親のことは置いておいて自分の気持ちを優先すればよかったのかな」と、時々切なく思うことがあります。
でも、今となってみると、あの時あの人と結婚していたら今の夫とは出会えなかった。そう考えると、逆によかったのかもしれないと、穏やかに受け止められるようになりました。
50代は、子どもが巣立ち、親も子もそれぞれの立場で本当に大変な時期です。子どもが自分の力で歩み出していく姿を見守りながら、親自身もこれからの第二の人生をどう過ごすか考えさせられるのではないでしょうか。
私は子どもがいないのでわかりませんが、親はただ子どもを見守ることしかできないのかもしれない――そんなふうに、ドラマの父親の姿を見て胸が熱くなってしまいました。
私たちが若い頃は、職場や友人・知人を介して出会うのがごく自然なスタイルでしたが、5年ごとに実施される国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、少し前のデータではあるものの、SNSやマッチングアプリといったインターネットサービスをきっかけに結婚した夫婦は全体の「13.6%(約7〜8組に1組)」を占めるようになっていました。
この調査は5年ごとに刷新されるため、もうすぐ発表される直近のデータでは、さらにその割合が上がっているかもしれません。
時代が変われば、パートナーとの巡り合い方やカタチもこんな風にしなやかに変わっていくんだなぁと、ふと時の流れの面白さを感じたりもします。
参考リンク
・国立社会保障・人口問題研究所|第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
関連記事
・50代女性の私が、最近急に不安になった「子なし夫婦の老後」
・ミッドライフクライシスとは?50代女性が感じる不安の正体と、これからの心の持ち方
選ばなかった未来を手放し、自分の足で歩んでいく
あの時選ばなかった先の未来も、そして今歩んでいるこの道も、結局は自分次第でいくらでも幸せにも不幸にもできるのだと思います。
これまでの人生を振り返ると、私たちの選択は常に正解だったわけではありません。むしろ、あのとき別の道を選んでいたらどうなっていただろうかと、思い悩む瞬間は誰にでもあるはずです。
しかし、人生の舵を急に変えることができない年齢になった今だからこそ、無理に過去を取り戻そうとしたり、未来の正解を焦って探し求めたりする必要はないのではないでしょうか。
何が正解なのか誰にもわからないのであれば、先のことを無理にコントロールしようとせず、あるがままの流れに身を任せるのも一つの知恵です。過去の思い出をそっと胸のなかにしまい込み、日々の小さな気持ちの揺らぎや暮らしのバランスを整えていく。そうやって、親としての思いや自分の老いと向き合うこの大変な世代を、肩の力を抜いて軽やかな足取りで乗り越えていきたいですね。
関連記事
・50代、「これからの人生をどう生きたい?」と考え始めた女性へ
・「有無同然」の心で考える。会社員とフリーランス、双方のメリット・デメリットとは?
まとめ:あの日の涙も、今の私を温めてくれる宝物
50代は、家族の巣立ちや環境の変化が重なり、心も体も慌ただしくエネルギーを使う時期です。昔のドラマや若い頃の曲をきっかけに切ない恋の記憶が蘇っても、それは私たちが懸命に生きてきた大切な青春の証。あの頃の葛藤があったからこそ、今の穏やかな幸せや、かけがえのないパートナーとの出会いがあります。
切なくて途中で見れなくなって止まっている『102回目のプロポーズ』ですが、録画しているので、今度はしっかりと、その結末を見届けたいと思います。正解のない人生だからこそ、これからの未来を自分らしくご機嫌に彩っていくために、心のバランスを整えながら軽やかに歩んでいきましょう。

