親を許せない人へ。50歳で気づいた「親も未完成だった」という事実

母にプレゼントしたパープルのカーディガン 人間関係・心
親を許せない人へ。50歳で気づいた「親も未完成だった」という事実

はじめに:50代女性の心と体のゆらぎと、今も消えない「親の言葉」

50代を迎え、ふと自分の人生を振り返る時間が増えたという方は多いのではないでしょうか。子育てが一段落したり、仕事の責任が変わったりする一方で、更年期特有の体調不良やメンタル面のゆらぎ、慢性的な疲労感に悩まされる時期でもあります。

そんな心身のエネルギーが低下しているとき、ふとした瞬間に心の奥底から湧き上がってくる、苦い記憶はありませんか?

「どうしてあんな傷つくことを言ったんだろう」

「なぜ、もっと私を認めてくれなかったのか」

何十年も前に親から言われた言葉や、理不尽に感じた仕打ちが、50歳を過ぎた今でも鮮明に蘇り、胸を締め付けることがあります。ネットで「親を許せない」と検索してしまう日々。

しかし、50歳という人生の折り返し地点に立った今、私はあるひとつの「微調整」を行うことで、その重い呪縛から少しだけ解放されるようになりました。

それは、自分自身が50歳になって初めて気づいた、「親もまた、未完成な人間だった」というあまりにも当たり前で、切ない事実です。

nanami
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【この記事の主な内容】
・50歳になって知った、親も自分と同じ「未完成な人間」だったという事実
・高齢者の姿にハッとした「人はいくつになっても中身は子どものまま」
・無理に「許す」のではなく、不器用さを受け入れるという生き方の微調整

理想の50代になれなかった焦燥感と、心に残り続ける「あの頃」の記憶

若い頃、自分が50歳になる頃には、もっと完璧な「大人」になっていると思っていました。人生経験が豊富で、どんなトラブルにも動じず、常に穏やかで包容力のある女性。そんな未来予想図を描いていたのです。

しかし、現実はどうでしょう。はっきり言って、自分の内面は10代や20代の頃と驚くほど変わっていません。

  • 人に褒められれば子供のように嬉しいし、否定されれば何日も引きずる。
  • 些細なことでイライラし、更年期のせいか感情のコントロールが効かない日もある。
  • 夜、ふと老後不安が襲ってきて睡眠不足になることだってある。

年齢という数字だけが「50」になっただけで、中身は迷いだらけの未完成な人間のままなのです。

そのような未完成さを抱えたままの自分自身に戸惑っていた時、ある出会いがありました。

先日、気が進まないまま地域の集まりに参加しました。これまで何かと理由をつけて避けていた場所です。

そこで、たまたま隣の席になった80代の女性。その方との会話が、私の心を軽くしてくれました。

「見て見て!100円ショップの材料で作ったの、可愛いでしょ?」
そう言って、嬉しそうにキラキラのビジューが付いた手作りのスマホケースを見せてくれるのです。さらに、配られたお菓子の袋を開けて「わぁ、まだ中に美味しそうなのがあったうれしい~!」と少女のような満面の笑顔。

その姿を見たとき、点と点がつながりました。
「人は80歳になっても、根っこの部分は変わらないのかもしれない」と。

私たちは年齢を重ねるごとに「大人の仮面」を被るのが上手になるだけ。心の中にはずっと、不器用で、寂しがりやで、誰かに認めてほしい「子ども」が住み続けているのではないでしょうか。

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50代になっても苦しい「親」との人間関係と、役割の重圧がもたらす生きづらさ

自分の内面がこんなにも未完成であると気づいたとき、私の思考は自然と、長年許すことができなかった「自分の親」へと向かいました。

私が幼い頃、親は絶対的な存在であり、正しい判断を下す「完璧な大人」に見えていました。だからこそ、親から理不尽に怒られたり、姉妹と比較されて傷つけられたりしたとき、「どうしてこんな酷いことをするのだろう。私のことが憎いのだろうか」と深く絶望したものです。

しかし、今の自分と同じ年齢だった頃の親を、一人の「人間」として冷静に見つめ直してみると、全く違う景色が見えてきました。

当時の親もまた、今の私と同じように、自分の未熟さに悩み、仕事、そして老後不安や親の介護といった重圧の中で、必死に溺れそうになりながら生きていたのではないでしょうか。

「親」という完璧なロールモデルを演じなければならないプレッシャーの中で、感情のコントロールが効かなくなり、言ってはいけない言葉を口にしてしまう。それは決して許されることではないかもしれないけれど、当時の親もまた、中身は未完成な子どものまま、暗闇の中で手探りの子育てをしていたのかもしれません。

50代になり、人間関係や家族の距離感を「微調整」していく中で、親を「絶対的な権力者」から「自分と同じように不器用な一人の人間」へと視点を変えていくことが、心の平穏を取り戻す第一歩になるのかもしれません。

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【体験談】母のカーディガンが教えてくれた、親への執着を手放すきっかけ

現在、私の義母は高齢者施設で暮らしています。私は面会に行く際、無意識のうちに「ある微調整」をしていました。それは、できるだけ地味で目立たない服を着ていくことです。おしゃれをしていくと、自由に外出できない母が羨ましがったり、寂しい思いをしたりするのではないかという、私なりの配慮(あるいは、余計な波風を立てたくないという自己防衛)でした。

しかしある日、知人との約束の帰りに、急遽そのままの服装で施設へ寄ることになりました。その日の私は、お気に入りのピンクのグラデーションのカーディガンを着ていました。

私を見るなり、母の目がキラリと光りました。 「そのカーディガン、すごくいいわね」 そして、少し拗ねたような口調でこう続けたのです。

「私も、そんな新しいカーディガンが欲しい。買ってきて頂戴」

その瞬間、私は怒りや悲しみではなく、思わずクスッと笑ってしまいました。70代を過ぎて施設で暮らしていても、嫁の服を見て「羨ましい」「私も欲しい」と思う。その強烈な承認欲求と物欲は、まるで小さな子どものワガママそのものだったからです。でも同時に、なんて人間らしくて、愛おしい姿なのだろうとも思いました。

私はすぐに、母のために綺麗な薄紫色のカーディガンを選んで買って持っていきました。母は子どもがプレゼントを貰ったときのように、満面の笑みで「ありがとう!」とカーディガンを抱きしめて喜んでくれました。

車いすにかけられたパープルのカーディガン

そして数日後、ちょっとした奇跡が起きました。 母に会いに施設へ行き、一緒にエレベーターに乗ったときのことです。一緒に乗り合わせた別の入居者の女性が、なんと母と「全く同じデザイン、まったく同じ色の紫のカーディガン」を着ていたのです。

エレベーターの中で、その光景を見た瞬間、私は思わず笑ってしまいました。「せっかく母のために選んだのに、まさかの丸被りか!」と。そして、母と目を合わせてくすっと笑い合いました。

でも、不思議と残念な気持ちにはなりませんでした。むしろ、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じたのです。エレベーターの鏡に映る二人の高齢の女性の姿を見ながら、私はこう思いました。

これは、神様からのメッセージかもしれない。 「あなたのお義母さんは、完璧な『親』である前に、おしゃれがしたくて、誰かに認められたくて、時々ワガママを言う、一人の未完成な人間なんだよ」と。

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毒親・しんどい親を「許す」のではなく、ただ「受け入れる」という生き方の微調整

「親を許さなければ、自分が前に進めない」 世間の心理学の本やスピリチュアルな言葉は、そんなアドバイスをくれるかもしれません。しかし、更年期でただでさえ心身が疲弊している50代の女性にとって、「傷つけられた過去を許す」というのは、あまりにもエネルギーを使う、ハードルの高い作業です。

だから私は、無理に「許す」必要はないと思っています。言われた言葉の傷は消えないし、当時の辛かった記憶を無理やり美化する必要もありません。

ただ、生き方の「微調整」として、「許す」のではなく「受け入れる(知る)」というスタンスをとってみませんか。

「あの人も、あの時、自分の人生を生きるだけで精一杯の、未完成な人間だったんだな」

「理想の親になれなくて、あの人自身も苦しかったのかもしれないな」

そう思えたとき、私は自分の部屋で、不思議と涙が止まらなくなりました。それは親への同情ではなく、長年「どうして!」と親の影を追いかけ、自分を責め続けてきた「小さな頃の私」が、ようやく救われた涙だったのだと思います。

50歳は、人生の荷物を軽くしていく時期です。親への恨みや理想という重い荷物を下ろし、「お互いに未完成だったね」と心の中で声をかけるだけで、人間関係の重みはすっと軽くなるのかもしれません。

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まとめ:親との関係に悩む50代女性が、これから自分らしく心地よく暮らすために

50代の暮らしに必要なのは、劇的な人生の変革ではなく、日々の小さな「微調整」です。

睡眠の質を高めるために寝具を変えるように、疲労感を溜めないために家事を手抜きの方向にシフトするように、親に対する心の持ち方も、ほんの少しだけアングルを変えてみる。

親は完璧な大人ではありませんでした。ただ、子どもの心を抱えたまま、年齢だけを重ねて親になってしまった不器用な人たち。そして、今を生きる私たち自身もまた、そのバトンを受け継いだ未完成な大人です。

お互いの未完成さを認めることができたとき、あなたのこれからの50代の暮らしは、驚くほど穏やかで、心地よいものに変わっていくはずです。今日から少しずつ、心の中に溜まった古い記憶を微調整していきませんか。

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